ITストラテジストの資格について

「ITストラテジスト」取得に必要なスキル

「ITストラテジスト」とは、IT技能を証明する高度人材育成資格のうちの一つで、企業の経営戦略に基づいてビジネスモデルを情報技術の観点から最適化するための提案を行っていくものです。
専門的な情報技術を習得した上で、企業からの依頼を受けて企画・開発をしていくための戦略策定や提案、その推進をしていくことになります。
資格を主催しているのは独立行政法人情報処理推進機構(IPA)で、その他にも複数IT系高度人材育成資格があり、そちらと合わせて使用されることも少なくありません。

「ITストラテジスト試験」の位置づけとしては、基本情報技術者試験、応用情報技術者試験のそのまた上位資格となっており、自身で十分に開発業務を担当できるレベルの知識を持った人材が、コンサルティング視点から開発の企画をすることが役目になってきます。
当然誰でも簡単に取得ができる資格というわけではなく、受験をするためには一定の技能があることが前提です。

試験そのものには受験資格を設けられてはいませんので、誰でも申込みをすれば受験ができ、合格ラインに達していれば資格取得が可能です。
しかし実際には試験内容は非常に難しく、合格率は例年15%を下回るくらいとなっています。
IT系の専門職の中でもかなり特殊な内容となっていますので、受験者数はそれほど多くありません。

資格を取得することでできる仕事内容

ITストラテジストはそれ自体が弁護士や医師のように職業となる資格ではなく、あくまでも技能を示すために使用されます。
そのため学生が取得をしてすぐに就職に活かせるかというとちょっと微妙なところがあり、どちらかと言えばSEやPGとして技術職としてデビューした人がキャリアアップのために受験する資格です。

資格を取得することにより、IT開発のより上流工程で業務を行うことができ、経営者とも近い位置で仕事ができるでしょう。

年収で比較をすると、男性のSEの平均年収は約550万円であるのに対し、ITストラテジストは同じく男性で563.9万円という平均値が出ています。
女性の場合は平均勤続年数が少ないこともあってか平均年収は474.4万円と男性よりもかなり低いですが、今後同様の職種に勤務をする人が増えてくれば、また状況は変化していくのではないかと思います。

試験概要・難易度

試験は午前・午後合わせて全部で4部構成です。
午前試験I(50分)、午前試験II(40分)、午後試験I(90分)、午後試験II(120分)となっており、午前は多肢選択式、午後は記述式で回答します。

中でも非常に難しいとされているのが午後IIの論述式の試験で、3問から1問を選んで回答していきます。
内容は午前中は技能系の問題、午後からは開発技術や経営についてが出題される形式です。