企業情報管理士

企業の内部統制をしていくための技能資格

オフィスIT系の知識は今やIT技術者のみが備えていればよいという訳ではありません。
どのような業務をしていく時にも、必ずといってよいほどシステムやネットワークを利用する機会がありますので、それを正しく運用していく知識が求められます。

「企業情報管理士」は、そうしたIT技術者ではない一般のオフィス業務を担当する人に向けて実施されている資格試験です。

主催しているのは一般社団法人全日本情報学習振興協会で、主に経営者や管理職、総務・経理・庶務・人事といった間接部門に勤務している人が対象とされています。

同じく全日本情報学習振興協会が実施している資格試験は「企業情報管理士」の他、「情報セキュリティ検定」「個人情報保護士」「個人情報保護法認定」という4つの分野です。

これはそれぞれどのような業務を担当しているかによって区別をしているのですが、その中にあって「企業情報管理士」は内部統制に関わる人を強く意識して作られたものとなっています。

なぜシステム管理者ではなく間接部門の管理者がIT技術に関する知識を備えなければいけないかというと、それは実際の情報漏えいやシステム障害の多くがヒューマンエラーによって発生しているからです。

うっかり大切なパソコンやUSBメモリを置きっぱなしにしてしまったり、パスワードを誰にでもわかるような場所に掲示しておいたというような事は、大企業の情報漏えいに関する不祥事でも非常によく聞かれます。

つまりいくらセキュリティが万全のシステムを構築したとしても、それを扱う現場の人間の意識が低ければ、簡単に情報漏えいやシステム障害は起こってしまうのです。

技術面だけでなく法律面なども問われる試験

「企業情報管理士」は、他のIT技術系資格のように詳細な技術について問われるというわけではありません。
もちろん技術に関する出題もありますが、IT技術者のような専門的なプログラミングの方法などは含まれないのです。

その代わりにかなりの割合で出題されてくるのが、情報処理関連の法律・法令についての知識になります。

以前より日本の法律はIT技術の普及に法整備が遅れているという指摘がなされてきていますが、現在ではそうした批判を受けて法律が頻繁に改正されてきました。

企業の経営者や経理に関する責任者はそうした法律の知識は不可欠であり、会社に関する規制を定めた民法や商法などとともに、ITにも遵法意識が強く求められます。

「企業情報管理士」の試験においては、会社に関する事務作業をする人にとって必要なIT関連の知識を網羅しているのです。

これから間接部門の管理職を目指すという人が取得する例も多く、個人や零細企業の経営者も取得がすすめられます。